FAQ

よくあるご質問
RBI/RBM は何のために行うのですか?
また、RBI/RBM を実施するメリットは何ですか
 プラント、設備、機器の稼働率向上とメンテナンス費用の低減が RBI/RBMを実施するメリットといえます。
RBI/RBM はプラント、設備、機器全体でリスクが許容範囲に入るようにする方法です。
すなわち、
 (1)高リスク部位では、そのリスクを低減することによって稼働率を向上させる、
 (2)低リスク部位では、検査の省略などによってメンテナンスコストを低減させる
ことを可能にするものです。
また、RBI/RBM 手法はコンピュータ活用などのシステム化(ソフト化)を促進します。
これによって、各種のメンテナンスデータの管理および技術伝承が容易になり、最終的に 熟練技術者を減らすことが可能になります。
すなわち、長期的にはメンテナンス要員の削減による、大幅コストダウンが可能になると考えられます。
メリットを事前に提示できますか?
RBI/RBM のメリットはいろいろありますが、事前に提示するにはどこに注目して行うか、その目的を明確にする必要があります。
たとえば、過剰な検査項目を減らしたり、検査・交換のインターバルを延長することによるコストダウン、すべての部位のリスクを評価して計画外停止の減少や、結果としての安全性向上など明確な目標を持つことにより、その実現のための評価が可能になります。
本当に効果(費用に見合う効果)があるのですか?
1つのプラントで実施するとき、どれくらいの費用がかかるのですか?
 RBI/RBM の作業はほとんどが人件費になります。たとえば、事業用火力発電ボイラにおける診断部位は600~800点ほどあります。
そのデータベースを作成するだけで、当初は相当の手間がかかります。また、設計データや検査・補修の記録の調査、運転履歴データの収集なども必要になります。
したがって、どのように RBI/RBMを進めるかの手順の決定や、必要なデータがそろっているかどうかなどの状況によって費用は異なります。当初の費用はかかりますが、前述のメリットによる効果があること、また一度つくれば次回は非常に簡単になること、そしてアウトソーシングを進めてメンテナンス人員が減ること、などから長期的なコスト効果は非常に大きくなると考えられます。現在の費用はプラントの規模によってまちまちですが、上記の作業を行うと数ヶ月程度の人件費を考える必要があるでしょう。
RBI/RBM を実施するうえで、留意すべきことは何ですか?
 専門家やユーザーが納得する手法を用いることです。
RBI/RBM は、従来は専門家が判断してきた事柄を、共通の基準によって行うものであり、特定の人が行うと偏った評価になる恐れがあります。したがって、関係者の合意のもとで評価を進めていく必要があります。
 また、定性的な評価を行うとはいえ、過去の運転履歴や損傷事例など可能な限り多くのデータを収集することが評価の精度を向上させる手段といえます。
海外(とくに米国)が先行していて、日本は後追いのような気がします。日本では独自の RBI/RBM ができているのですか?その場合、誰(どこ)がどのようにして策定しているのですか?
欧米では RBI/RBM 手法を含んだメンテナンスに関する基準の整備が先行し、歴史的に見ると日本では、このような欧米で先行した規格、基準を翻訳して法律として取り込んできました。しかし、規制緩和が進んだ今日では、日本高圧力技術協会(HPI)がAPI RP581に準拠したHPI基準RBMガイドライン(HPIS Z106)とRBMハンドブック(HPIS Z107TR)を発行し、これに基づくRBM ソフトuni-Planner{(株)IMC}も開発され、実際に使用されています。
RBI/RBM の課題や問題は何ですか?
RBI/RBM を実際に行う場合、データベースの作成などに相当の時間を要します。作業の簡略化や使いやすいツールやソフトの構築が必要になります。
RBI/RBM の考え方は、すべての設備に展開できますか?
リスク=破損確率×被害の大きさの概念は、全ての設備・機器に適用できるため、基本的には全ての設備に展開できると考えられています。しかし、静機器と動機器では、損傷形態がことなるため、リスク評価の方法が異なります。
RBI/RBM の適用に向いている設備とそうでない設備の見分け方はありますか?
実施すべき設備、すべきでない設備は、明確に外部から評価できますか?
前問で述べていますが、リスクの考え方を用いると、どのような設備・機械装置にも適用できるはずです。RBI/RBM はその機器の損傷メカニズムに注目して行いますので、いかに過去の損傷事例や検査記録がそろっているかが、カギになります。
 開放点検をほとんどしない貯蔵設備などは、検査の記録がない、すなわちその部位がどのような損傷状態になっているか分からないものには、各種のシミュレーション技術を使うことにより、多くの現象を推定することが可能になっています。そのような方法を用いれば、リスク評価を行うことがでます。
対象プラントの管理技術の巧拙によって、RBI/RBM の結果はどのように異なってきますか?
 プラントの管理には、運転、供用中検査、補修、記録、保全人材確保・育成などが含まれる と思います。これらに関する技術の巧拙は、RBI/RBM法のリスク評価に当然影響します。ある意味、対象プラントにおける管理技術の巧拙が、リスクを決めるすべてともいえます。
 運転技術の巧拙は寿命消費に影響し、検査技術の巧拙は破損の起こりやすさを決める最大の因子です。補修技術の巧拙は設備の健全性そのものであり、運転・検査などの記録の正確さは、余寿命推定の精度を決めるものです。人材は直接リスク評価項目に入らないと思いますが、すべての技術の源となるもので、専門家の蓄積した知識や経験を集約する RBI/RBM 法では、人材もRBI/RBM 法適用の巧拙を決めるものになるといえます。